「巨大な外界が崩壊したとき、人は自分の小さな世界の中でしか生き残る道を見つけられない。直子と健二は、自然な男女の肉体関係を伴いながら、放り込まれるように自分の小さな世界に閉じこもっていくことになる」嘘のつけない宇宙、そこには楽しさがあり、人間本来の性質も現れる この小さな宇宙に飛び込んで初めて、人は本当の強さを発揮できるようだ」――原作者・白石一文の10日後。結婚式を控えた彼女は、故郷の秋田に帰省していた元恋人・健司と再会する。直子が新生活を迎えるにあたって整理したものの中からアルバムを取り出したのは、彼女と健二が本能のままに過ごした青春時代の白黒写真だった。欲望が甦りました。 「今夜だけ、過去に戻ろうね？」 直子の婚約者が帰ってから5日以内、身体に刻まれた楽しい思い出と絡み合いの果てに、二人は何を見るのか？震災という背景と相まって、無関心な日常に包まれた濃密な性愛は、今にも噴火しそうな火山のように、歪でありながらも純粋で毅然とした美しい生命のマグマが噴出する。