太宰治と蜷川実花の組み合わせは、一言で言えば「色」です。蜷川は太宰治の半自伝的小説『世界失格』に納得できず、同書の名のもとに自分と３人の女性の物語をそのまま映画化した。太宰治の妻・美智子、作家志望の恋人・静子、最後の恋人・風礼をそれぞれ宮沢りえ、沢尻英龍、二階堂ふみが演じ、蜷川監督が3人の女性に向けて緻密に設定したテーマを引き立てている。力強く華やかな色彩の絵は、感動的な視覚の饗宴です。太宰治は、生の無力さに抗うため、女と酒に耽溺し、退廃的で暗い人生の中で死の光を追い求めた。蜷川のレンズの下では、彼は才能ある男であると同時に雌犬でもあり、その耐えられなさが世界のもろさと美しさを反映している。